任意後見契約は、自身の判断能力がしっかりしているうちに、信頼できる人(受任者)へ将来の財産管理や身の回りの事務を委任する契約です。契約書を公正証書にして登記することで、任意後見契約の存在や契約内容が公の記録として明示されます。この登記情報をまとめたものが「登記事項証明書」であり、家庭裁判所への申し立てや各種手続きで使われる非常に重要な文書なのです。

 

ここでは、任意後見契約登記事項に記載される内容や取得方法、申請時の注意点などについて説明していきます

 

任意後見登記事項証明書とは

任意後見登記事項証明書は、任意後見契約が法務局に登記されたことを証明する公的書類です。

 

任意後見制度契約の締結時点で受任者は「任意後見受任者」と登記されますが、委任者の判断能力が低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点で「任意後見人」へと切り替わります。

 

家庭裁判所により任意後見監督人が選任されると、任意後見契約は法務局に登記され、契約内容は任意後見登記事項証明書として発行可能になります。

 

任意後見登記事項証明書の記載内容

任意後見契約に関する登記では、法律にもとづき以下のような事項が記載されます。一例として、次の項目を覚えておきましょう。

 

【登記事項証明証の内容】

  • 公証人の情報
  • 任意後見契約公正証書を作成した公証人の氏名・所属事務所、証書番号、作成年月日
  • 本人(契約者)の基本情報
  • 氏名、出生年月日、住所、本籍(外国人なら国籍)
  • 任意後見受任者または任意後見人の情報
  • 氏名や住所
  • 代理権の範囲(※)
  • 財産管理・身上監護など、どこまで代理できるか
  • 共同代理の定め(複数任意後見人の有無)
  • 数人の任意後見人が共同して代理権を行使するか など
  • 任意後見監督人が選任された日や氏名
  • 任意後見契約が効力を発揮した後、正式に「任意後見人」となる
  • 契約終了事由、終了年月日

 

「代理権の範囲」については、次の記事でも詳しく説明しています。

→ 任意後見人の代理権とは?契約で定める範囲と注意点

 

任意後見登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書を取得するときは、法務局に発行申請を行い手数料を納めます。

 

法務局への申請

登記事項証明書は、各地の法務局または地方法務局の戸籍課などで発行を受けられます。大都市圏では専門部署(東京法務局「後見登録課」など)が担当する場合が多いです。公証人が嘱託登記を行った後、登記記録が整備されるため、契約締結後すぐには発行されない場合がある点に注意しましょう。

 

申請先例

東京法務局 後見登録課

 

必要書類・手数料

法務局や地域により多少異なりますが、一般的には以下の書類が必要です。

  • 申請書(法務局HPなどからダウンロード)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
  • 戸籍謄本など(本人または親族が申請する場合、関係性証明用)
  • 印紙代(手数料)
  • 登記事項証明書は1550円分の収入印紙(2023年現在)

 

任意後見登記事項証明書の活用

任意後見登記事項証明書は、任意後見監督人の選任申立ておよび選任後の各種業務遂行において役立ちます。

 

任意後見監督人選任の申し立て

本人の判断能力が低下したら、任意後見契約を発効させるために家庭裁判所へ任意後見監督人の選任申立てを行います。このとき、登記事項証明書を添付し、契約内容や代理権の範囲を明確に示すのが通常の手続きです。

 

任意後見人の代理権の証明

任意後見人(受任者)は、登記事項証明書を提示することで、銀行や施設契約など各種手続きを代行しやすくなります。あくまでも契約に基づく代理権ですが、登記記録によって法的根拠を示せるため十分な説得力を備えています。

 

任意後見契約の登記事項証明書に関する疑問

任意後見契約の登記事項証明書は普段馴染みのない書類であることから、その作成、変更、活用などについて疑問を抱く人が多くいます。ここでは、代表的な疑問点と注意点についてみていきましょう。

 

登記情報の変更・終了はどこで行うのか?

変更や終了の登記は、東京法務局「後見登録課」で取り扱うケースが多い傾向にあります。

 

登記事項証明書の有効期限はあるか?

法的に有効期限は定められていませんが、手持ちの証明書が最新の状態を反映していないと考えられる場合は、必要に応じて新しい証明書を取得するほうが望ましいでしょう。

 

複数の任意後見契約を結んでいる場合はどうなる?

1人の委任者が複数の受任者と契約することは可能ですが、登記内容もそのぶん複雑になることが考えられます。

 

本人が亡くなった後の登記事項証明書の効力はどうなる?

任意後見契約は本人の死亡で終了するため、登記の効力も同時に終了します。

 

まとめ

任意後見契約は、将来に備えて「自分の信頼する人に財産管理や身上監護を委任する」制度ですが、公正証書による契約と法務局での登記をセットで整えることで、より確実に効力を発揮できます。そして、この登記情報をまとめた「登記事項証明書」は、家庭裁判所への任意後見監督人選任申立てや、金融機関・施設との手続きで活躍します。

 

任意後見契約は、本人と家族が安心して将来を迎えるための強力な仕組みです。しかし、書面を作るだけでなく、登記事項証明書を取得・保管し、必要時にすぐ提示できるよう準備しておくのが大切でしょう。

 

複雑に感じる場合は、行政書士や弁護士などの専門家へ相談しながら手続きを進めるとスムーズです。お困りの場合はぜひ弊社の無料相談をご利用ください。

 

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