一人暮らしの高齢者が増えるなか、「周りに気にかけてくれる人がいない」「何かあったときにすぐ助けを呼べるか不安」と感じている方は多いでしょう。このような状況をサポートする手段として注目されているのが、民間による見守りサービスや専門家による見守り契約です。

 

見守りサービスについては、法律上の明確な定義があるわけではありませんが、定期的に電話や訪問をして高齢者の生活状況を確認し、必要に応じて次の手続きへつなげる効果が期待できます。専門家による見守り契約の場合は、各専門家による法律あるいは税務サポートなどを受けられる点がメリットになるでしょう。

 

ここでは、一人暮らしの高齢者のための見守りサービスや専門家による見守り契約について説明していきます

 

一人暮らしの高齢者のための「見守り契約/見守りサービス」とは

見守り契約/見守りサービスとは、高齢者や体力に不安を抱える方(以下「委任者」)が、弁護士や行政書士、親族・信頼できる第三者(以下「受任者」)などに依頼し、定期的な連絡や訪問で生活状況を確認してもらう契約を指します。法律用語としての定義はなく、必要に応じて内容を柔軟に決められる点が特徴です。

 

見守り契約/見守りサービスによる定期確認

一人暮らしの高齢者が認知症や体調悪化で判断能力が低下すると、周囲に気づかれないまま生活トラブルに陥るリスクが高まります。見守り契約を結んでおけば、定期的な電話や訪問を通じて早期発見・早期対策が可能になるため、委任者本人だけでなく家族にとっても安心感が得られます

 

新宿区による見守りサービス

多くの自治体では、一人暮らしの高齢者に対する「見守りサービス」を実施しています。

 

新宿区も例外ではなく、以下のような取組みを行っていますので、興味のある方は問い合わせてみるといいでしょう。

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専門家による見守り契約と任意後見/死後事務委任の併用

見守り契約単体で利用するだけでも、日常生活における不安をある程度取り除くことができますが、自分自身の将来や死後まで見越した準備を行えば、自分を取り巻く環境をより安心できるものに整備することができるでしょう。

 

任意後見契約と見守り契約の併用

任意後見契約とは、委任者がまだ判断能力を保っているうちに、将来の判断能力低下に備えて「後見人になってほしい人(受任者)」と結んでおく契約です。

 

任意後見契約発効のタイミング

判断能力が低下したタイミングを受任者が判断し、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てることで「任意後見」が始まります。しかし、多くの場合、契約から任意後見が実際に開始されるまで時間が空くことが多いのが現状です。

 

見守り契約で切れ目のない支援が可能

ここで活きてくるのが見守り契約です。定期的な見守りを通じて、受任者が「そろそろ本人の判断能力が低下してきた」と気づけば、適切なタイミングで任意後見監督人の選任を申し立てられます

  • 見守り契約によって、判断能力の低下時期を的確に把握
  • 任意後見開始までの空白期間を見守りで埋める

 

死後事務委任契約と見守り契約の併用

死後事務委任契約は、亡くなった後の葬儀や埋葬手続き、遺品整理などを生前に委任しておく仕組みです。見守り契約を合わせて締結しておくと、以下のメリットがあります。

 

死後に向けた切れ目のない支援が可能

  1. 委任者の体調変化や生活状況をリアルタイムで把握してもらえる
  2. 万が一のときは死後事務受任者が必要な準備を速やかに進めてくれる

 

見守り契約で受任者が行う主な業務

受任者は、契約書で定めた頻度に応じて委任者へ連絡や面談を行います。具体的には以下のような行為が考えられます。

 

  • 毎週1回の電話で健康状態や困りごとの確認
  • 月に1度の訪問で生活環境の確認や書類整理の手伝い
  • 必要に応じて郵便物や公共料金の確認

 

一人暮らしの高齢者の安心感と信頼関係の構築

定期的な連絡を続けることで、委任者・受任者の間に信頼関係が生まれます。高齢者にとって「自分を気にかけてくれる人がいる」という安心感は大きく、詐欺被害や孤立を防ぐ効果も期待できます。

 

一人暮らしの高齢者のための「見守り契約」の手続き

見守り契約は私文書として作成することもできますが、任意後見契約や死後事務委任契約とあわせて締結する場合、公正証書にすることが一般的です。

 

公正証書にするメリットとして、契約書の証拠力が高まる・内容を明確にしてトラブルを防ぐ、といったことが挙げられます。

 

一人暮らしの高齢者は誰と「見守り契約」を結ぶべきか

見守り契約を誰と締結するかによって、得られるメリットも変わってきます。

 

親族と見守り契約を締結する場合

  • 親族ならではのきめ細やかな見守りが期待できる
  • 高齢者との心理的距離が近く安心できる
  • ただし、親族同士でトラブルがある場合は注意が必要

 

専門家(弁護士・行政書士など)と見守り契約を締結する場合

  • 法的知識やノウハウを活かした適切な対応が期待できる
  • 親族が遠方に住んでいても安心できる
  • 報酬がかかるが、公正中立な立場を期待できる

 

まとめ

見守り契約は法律上の明確な定義こそありませんが、一人暮らしの高齢者の不安を軽減し、任意後見契約や死後事務委任契約と組み合わせることで大きな相乗効果を発揮します。定期的な訪問や電話を通して生活状況を確認することで、判断能力の低下や体調変化に素早く気づき、次の手続き(任意後見開始や死後事務の準備)へスムーズにつなげられるのです。

  • 見守り契約のメリット
    • 高齢者が安心して暮らせる体制を構築
    • 親族や専門家との信頼関係を築き、緊急時のサポートを受けやすくなる
    • 任意後見・死後事務委任と合わせて活用すれば、空白期間を埋められる

「おひとりさま」の不安を解消しつつ「もしものとき」に備えるためには、見守り契約をはじめとする生前対策についても検討を始めてみましょう

 

当行政書士法人では、任意後見契約や死後事務委任契約の作成サポートとあわせて、見守り契約のニーズにも柔軟に対応しております。少しでも興味や不安のある方は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。きめ細かなサポート体制で、高齢者が安心して暮らせる仕組みづくりをお手伝いします。

 

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