家族信託は、認知症対策や相続対策として非常に有効な制度ですが、「信託すると贈与税がかかるのでは?」「不動産を信託すると固定資産税はどうなる?」など、税金面での疑問や不安を持つ方も多いのではないでしょうか。

 

ここでは、家族信託に関係する税金の種類と課税のタイミングについて説明していきます

 

家族信託で関係する主な税金とは

家族信託に関係する主な税金は以下の5種類です。

税金の種類 課税のタイミング
贈与税 財産を信託したとき(特に受益者が別人の場合)
所得税 信託財産から収益が出る場合
譲渡所得税 不動産等を売却した場合
登録免許税 不動産を信託財産として移転登記するとき
固定資産税 不動産の所有権が信託された後も継続して課税

 

【贈与税】家族信託で贈与税が課税されるケースとされないケース

家族信託では、受益者が委託者自身か別の人物かによって、贈与税が課税されるかどうかが代わってきます。

 

受益者が委託者自身の場合は贈与税が課税されない

たとえば、父親(委託者)が自宅を息子(受託者)に託し、父親自身が引き続きその家に住み続ける(=受益者も父)のようなケースでは実質的な所有者が変わらないため、贈与税はかかりません。

 

受益者が別人の場合は贈与税が課税される

受益者が委託者以外の人物(例:孫や子)である場合は、実質的な経済的利益が移転したと見なされ、贈与税が課される可能性があります。

 

【所得税】家族信託で所得税が課税され確定申告が必要なケース

信託財産から発生する収益への課税分を誰が払うか、確定申告が必要な信託財産の場合は課税されるか、それぞれ状況を理解しておきましょう。

 

信託財産から収益が発生:受益者が納税する

信託財産から収益(例:賃貸収入や配当金など)が発生する場合、その収益に対する所得税は受益者が負担します。

 

信託財産から収益が発生:受益者が確定申告する

家族信託によって得た収益は、信託契約とは別に個人の所得として申告が必要です。

 

たとえば、不動産を信託して賃貸収入が発生する場合などは、必ず受益者の確定申告を行わなければなりません。これにより所得税を納税することになります。また、信託財産の収支を明確に分ける帳簿管理が必要です。

 

【譲渡所得税】信託財産を売却したケース

通常、家族信託の契約そのものでは譲渡所得税は発生しません。ただし、信託財産を売却した場合は課税対象になります。

 

たとえば、信託された不動産を受託者が売却し、その代金を受益者が得た場合には、その譲渡による所得(譲渡益)に対して譲渡所得税が課されます。

 

【登録免許税】不動産を信託登記するケース

信託財産に不動産が含まれる場合、その不動産の名義変更(信託登記)が必要になります。

 

このとき発生する登録免許税の計算式を覚えておきましょう。

【登録免許税の税率と計算方法】

  • 税率:固定資産評価額の 0.4%
  • 例:固定資産税評価額が3,000万円の不動産の場合 → 3,000万円 × 0.4% = 12万円

 

【固定資産税】税務上の所有者が誰かにより納税者が決定

家族信託では、不動産の名義は受託者に変わりますが、税務上の所有者は引き続き委託者(または受益者)と見なされるため、固定資産税は今までどおり委託者に課税されます。

 

【相続税】委託者の死亡タイミングと帰属権利者の指定により決定

家族信託を設定していても、相続税の対象財産から除外されるわけではありません。以下の点に注意が必要です。

 

  • 委託者=受益者のまま亡くなった場合その財産は相続税の課税対象
  • 信託契約に「帰属権利者」を定めている場合その者に対して相続税または贈与税が発生する可能性あり

 

家族信託と税金の問題は専門家に相談を

家族信託は制度として複雑であり、設計や運用次第で思わぬ課税を受けることもあります。そのため、専門家(税理士・司法書士・行政書士など)に必ず相談し、節税だけを目的に信託を設計せず、契約書の文言を慎重に構成するといった対応が不可欠です。

 

まとめ

家族信託(民事信託)は資産凍結リスクの回避や相続トラブル予防に有効ですが、税金に関する認識を誤ると期待した効果が半減することもあります。

 

贈与税・相続税・所得税・登録免許税・固定資産税の5つから適用される可能性のあるものをピックアップし、信託契約書と連動させることがとても大切です。また、最終的には税理士や行政書士など専門家による一貫したサポートを受けることも検討してみましょう。

 

弊社では初回30分無料相談を実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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