生前贈与を通じて財産を移転する際に、「贈与税を払わないで済むのは何年経過したら大丈夫?」という疑問がよく挙がります。実は、贈与税にも6年あるいは7年の時効があるのです。
ここでは、贈与税における時効の基本的な考え方や時効タイミングの違いなどについて説明していきます。
贈与税の時効判断は「6年」と「7年」に注意
時効とは、法律で定められた一定期間が経過すると権利の行使ができなくなる制度を指します。たとえば債権の消滅時効や刑事事件の公訴時効などが有名ですが、税金に関しても時効が存在し、一定の期間内に国(税務署)が課税処分を行わなかった場合、もはや税を請求できなくなるのです。
贈与税法上の時効は6年|不正行為があれば7年
税法上、贈与税の時効は6年とされています。ただし、隠蔽工作などの不正行為があった場合には7年に延びる場合があり、さらに「贈与者が知っていたか」「仮装・隠蔽があったかどうか」で変わる可能性も否定できません。
もう少し詳しくみていきましょう。
贈与税に係る時効と適用要件
税金の時効は、法定申告期限の翌日から起算して原則「5年」と定められています(国税通則法第70条第1項)。
しかし、贈与税については、5年の時効では賄いきれない場面が想定されるため、特別に時効を「6年」とすることとされています(相続税法第37条)。
さらに、これは贈与税だけに限りませんが、「偽りその他不正の行為」により課税を免れるような場合には、時効は「7年」に延長されることになります(国税通則法第70条第5項)。
【贈与税の時効】法定納期限の翌日から6年
- 贈与があった事実を知らずに申告していなかった場合(過失)
【贈与税の時効】法定納期限の翌日から7年(延長)
- 贈与があったことを知りながら贈与税を納めていない場合(故意)
贈与税の時効が成立しない代表的なケース
時効の制度があっても、以下のような状況では時効が成立しないか時効が中断されてしまうことがあります。
名義預金や不動産登記で贈与が明らかになるケース
子ども名義の預金口座に親が資金を入金していたり、不動産の名義を子どもの名前に変更していたりした場合、税務署はこれらを贈与とみなします。
税務調査や情報提供により贈与が明らかになるケース
金融機関や第三者から税務署に情報提供があったり、遺産調査中に過去の贈与が判明したりした場合、税務署の調査が開始されると時効は中断され、たとえ6年以上前の贈与であっても課税対象になることがあります。
意図的に申告を避けた(仮装・隠蔽)ことが明らかになるケース
贈与税申告を回避する目的で通帳を分けて財産を管理していたり、贈与を現金で受け取りその記録を残していなかったりした場合、税務署はこれらを「仮装隠蔽あり」と判断し、悪質であるとして時効を7年に延長することがあります。
贈与税を申告しなかった場合のペナルティ(加算税・延滞税)
贈与税を期限までに申告しなかった場合、本税のほかに加算税や延滞税といった罰金的な税金が加算されます。
無申告加算税
期限内に贈与税の申告を行わなかったり期限後の申告に漏れがあったりした場合、無申告加算税が適用されることがあります。
| 状況 | 税率 |
| 税務署から指摘される前に自主的に申告(期限後申告) | 5% |
| 税務署から指摘を受けた後に申告 | 15%(納付税額が50万円を超える部分は20%) |
早期の自主申告により税率が抑えられます。また、意図的に隠していた(仮装・隠蔽)と判断されると、重加算税の対象になります。
過少申告加算税
贈与税を少なく申告した場合、過少申告加算税が適用されることがあります。
| 状況 | 税率 |
| 税務調査等で申告内容に誤りがあったと判明 | 10%(納付税額が50万円を超える部分は15%) |
単なる計算ミスなどでも対象になることがあります。ただし、税務署から指摘を受ける前に修正申告をすれば課税されません。
重加算税
贈与を受けた事実を意図的に隠していたり虚偽の記載をしていたりした場合など、悪質なケースに課されるのが重加算税です。
| 違反内容 | 税率 |
| 無申告で仮装・隠蔽があった場合 | 40% |
| 過少申告で仮装・隠蔽があった場合 | 35% |
名義預金であることを隠したり現金贈与記録を意図的に残さなかったり、あるいは書類を偽造・改ざんして虚偽申告を行ったりしたケースなどが該当します。
延滞税
贈与税の申告または納付が遅れた場合に、法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて課される税金です。
税率(2025年度)
| 納期限からの経過日数 | 年利(概算) |
| 2ヶ月以内 | 2.5%前後(特例基準割合+1%) |
| 2ヶ月超 | 8.7%前後(特例基準割合+7.3%) |
※年度により若干の変動あり(国税庁が毎年公表)
まとめ
「贈与税の時効」は、一般的に6年または7年と言われることが多いですが、実際には税務署の請求権がいつ発生し、無申告や仮装隠蔽があったかどうかなど条件によって異なります。また、多くのケースで時効以前に相続が発生すると、相続税の調査時に生前贈与が発覚し課税されるリスクが高まります。
時効ばかりを気にするのではなく、きちんと非課税枠や特例を理解し、必要に応じて税理士など専門家に相談して適切な申告を行う方が結果的に安全です。正しい知識を身につけて、家族に円満に財産を渡す方法を計画的に実行しましょう。
当行政書士法人では、広く生前対策に精通しており、税理士や司法書士などと連携しながらトータルサポートを実現しています。贈与や税の問題でお困りの方は、ぜひ弊社の無料相談をご利用ください。










