近年、相続対策や認知症対策として注目されている家族信託ですが、「うまくいかなかった」「後悔している」といった声も少なくありません。

 

このため、「本当に家族信託を利用して大丈夫なのか?」「後でトラブルにならないだろうか?」といった不安を抱く方もおられます。

 

ここでは、家族信託で後悔しないか、失敗しやすいケースとその原因、後悔を防ぐためのポイントについて説明していきます

 

家族信託とは

まず、家族信託の基本を押さえておきましょう。

 

家族信託の定義

家族信託とは、自分の財産を信頼できる家族に託し、管理・運用・処分してもらう制度です。

 

家族信託の主な目的

認知症による資産凍結対策、柔軟な財産承継、生前の財産管理などを挙げることができます。

 

家族信託で後悔しやすいケースとは

家族信託は柔軟性の高い活用が可能ですが、以下のようなケースでは、せっかくの家族信託契約も後悔に繋がってしまいかねませんので注意しましょう。

 

【ケース1】信託契約の内容が曖昧だった

家族信託契約の内容をしっかり作り込まず曖昧な部分が多かったため、想定外の事態に対応できなかったケースでは後悔が生じやすいといえます。

 

後悔の具体例

  • 「将来、施設入所に伴う不動産売却をしたかったが、売却権限が契約に明記されていなかった」
  • 「受益者が亡くなった後の財産の帰属先が明記されておらず、相続トラブルに発展」

 

後悔しないための対策

契約書は専門家と一緒に緻密に作成し、「誰が・いつ・何を・どうするのか」を明文化します。

 

【ケース2】受託者との信頼関係が崩れた

家族信託で信託財産の管理を任せた受託者とトラブルになった場合、後悔が生じやすいといえます。

 

後悔の具体例

  • 「受託者が勝手に預金を引き出した」
  • 「家族間で受託者のやり方に不満が生まれ、信頼関係が崩壊」

 

後悔しないための対策

受託者には定期的な報告義務を設け、第三者(信託監督人)の設定も検討しましょう。家族だからといって安易に受託者を任せるのではなく、「責任感と信頼性のある人物」を選ぶことが大切です。

 

【ケース3】 費用や税金のことを十分に理解していなかった

家族信託の準備から実行にいたるまで想像以上に費用がかかることがわかったり、税制の知識不足により後に悔やむことになったりすることがあります。

 

後悔の具体例

  • 「契約時の司法書士・行政書士への報酬が想定以上だった」
  • 「不動産の信託移転登記に登録免許税がかかると知らなかった」

 

後悔しないための対策

専門家に依頼する場合の費用相場や手続きにかかる税金を事前に調査しておきましょう。また、信託後の贈与税・相続税にも注意し、税理士とも連携を取ることをおすすめします。

 

【ケース4】他の家族からの理解を得られなかった

家族信託の内容をめぐって親族間の対立が生じることもあります。

 

後悔の具体例

  • 「長男だけが受託者になったことに、他の兄弟が反発」
  • 「『親が騙されて契約させられた』と疑われた」

 

後悔しないための対策

親族に対しても十分な説明と合意形成を事前に行うことがとても大切です。特に、契約時には関係者だけでなく親族も同席させ、公正証書で明確に残すとトラブルが起こりにくいでしょう。

 

【ケース5】その他の「後悔にいたりやすいポイント」に注意

以下のようなケースでは、家族信託のリスクをしっかり理解し、慎重に進める必要があります。

 

  • 相続人が複数いて仲が良くない
  • 不動産が複数あり、運用や売却が関係する
  • 本人が受託者に任せすぎてしまいそうな性格である
  • 本人が高齢で判断能力に不安がある など

 

家族信託で後悔しないためのポイント

家族信託は上手に活用すれば大変機能的なしくみだといえます。せっかくの生前対策について後悔しないためにも、以下のような点を押さえておきましょう。

 

信託設計は専門家と行う

行政書士・税理士・弁護士・司法書士など、信託に精通した専門家に相談しましょう。信託設計の初期段階でのミスは、後々大きな問題になります。

 

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→ 家族信託はどこに相談するか|専門家の種類と選び方

 

信託設計は長期的な視点でプランニングする

家族信託の設計を行う際は、「いま」だけでなく、「将来の相続」「介護」「受益者の死亡後」まで見据えて内容を詰めていくことが重要です。

 

遺言や任意後見との併用も検討する

家族信託だけではカバーできないケースもあります。

  • 財産の分配指定も行いたい遺言書の併用が望ましい
  • 判断能力の低下後の身上監護もカバーしたい任意後見契約の併用が望ましい

 

 

家族信託のメリットとデメリット

家族信託契約において預貯金や不動産などを信託財産とすることで、万が一委託者が認知症などで判断能力を失った場合でも、受託者が財産を適切に管理・運用できる仕組みを作っておくことができます。

 

ここまで「家族信託で生じやすい後悔」に焦点を当てて解説してきましたが、あらためて「メリットとデメリット」を知り、適切な選択として家族信託を利用できることが望ましいといえます。

 

家族信託のメリット

家族信託には、以下のような大きなメリットがあります。

 

認知症対策

認知症などで判断能力が低下すると、本人が財産を自由に動かすことができなくなり、金融機関の口座が凍結されるなどの問題が発生します。

 

家族信託を活用することで、認知症になっても受託者が財産を適切に管理し、生活費や介護費用に充てられるようになります。たとえば、高齢者施設の入居費用を親の財産から支払うことも可能です。

 

二次相続・三次相続

遺言書では、二次相続や三次相続における財産承継者を指定することができませんが、家族信託を利用すれば、孫やその子孫に財産を承継させることができます。

 

これにより、委託者の死亡後も受益者連続型信託を通じて、子から孫、ひ孫へとスムーズに財産を受け継ぐことが可能です。

 

家族信託のデメリット

家族信託には多くのメリットがありますが、注意すべきデメリットや後悔を避けるための対策もあります。

 

親族関係の悪化

家族信託契約に関して親族間でトラブルが起こることも少なくありません。特に、財産管理を一部の受託者に任せることが不公平だと感じる場合、関係が悪化する可能性があります。

 

これを避けるためには、契約内容について家族や親族と事前に十分に話し合い、同意を得ることが重要です。

 

自力で作成した契約書の無効化

インターネットや書籍に頼って独自に家族信託契約書を作成することも可能ですが、法律に基づいた正確な契約内容を作成しなければ、後々無効になってしまう恐れがあります。

 

家族信託契約は複雑な法律や税制に関わるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが大切です。

 

家族信託にかかわる税制ルールの理解

家族信託の成功には、契約内容を正確に理解し、家族全員の合意を得ることが欠かせません。さらに、以下の法的なルールについて理解を深めておくことが重要です。

 

1年ルールを理解する

信託法第163条により、信託契約の受託者が欠けた場合、1年間新たな受託者が就任しないと信託契約が終了すると定められています。

 

この「1年ルール」を把握しておくことで、適切なタイミングで受託者の交代を行うことができます。

 

30年ルールを理解する

信託法第91条では、家族信託契約から30年が経過すると、新たな受益権の承継は一度しか認められないことが明記されています。

 

これにより、受益者連続型信託が有効である期間が制限されるため、30年を超える期間の財産承継を希望する場合には特別な配慮が必要です。

 

まとめ

家族信託は、遺言書にはない柔軟な財産承継を実現できるため、非常に注目されています。しかし、正しく活用しなければ、後悔や失敗を招くこともあります。

 

家族信託契約を結ぶ際は、専門家のサポートを受けながら進めることが推奨されます。当行政書士法人では、家族信託の設計から相続手続きまでトータルサポートを行っておりますので、お悩みやご不安があれば、ぜひ初回無料相談をご利用ください。

 

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