将来に備えて任意後見契約を結びたいと考えているが、「専門家に頼まず自分でできないだろうか?」「費用をできるだけ抑えたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
ここでは、自分で任意後見契約書を作成するための具体的な手順・必要書類・注意点について説明していきます。
任意後見契約は自分でできる
任意後見契約は、将来、判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人に財産管理や身の回りの支援を任せる契約です。
任意後見契約は本人と後見人予定者の間で結ばれ、任意後見契約書に法的効力を持たせるためには「公正証書での作成」が必須となります。つまり、書類の準備や内容の検討は自分でできても、公正証書作成だけは公証役場で行う必要があるのです。
自分で任意後見契約をする際の流れ
専門家に依頼せず自力で任意後見契約を締結する流れを整理していきましょう。
【ステップ1】契約内容を決める
以下のような内容を、本人と受任者(将来の後見人)で合意します。
- どのような事務(財産管理・介護契約など)を任せるか
- 任せる範囲・条件
- 任意後見契約が開始される条件
- 報酬の有無や金額(希望があれば)
【ステップ2】任意後見契約書の原案を自作する
任意後見契約書の原案を「下書き」として作成しておくと、公証役場での手続きがスムーズになります。原案に記載するべき項目例は以下の通りです。
【記載事項例】
- 本人の氏名・住所・生年月日
- 受任者の氏名・住所
- 任せたい事務の内容
- 任意後見契約発効の条件(例:家庭裁判所が監督人を選任したとき)
- 報酬の有無や金額
- 契約の解除条件 など
法務省では、任意後見契約書のひな形として以下の文書を公開しています。これを参考例とし、自分自身の事情に合わせて調整しましょう。
■法務省による参考資料(ひな形)
【ステップ3】公証役場に予約を入れ来所する
作成した契約内容(案)を持参して本人と受任者が一緒に公証役場を訪問し、公正証書を作成します。契約内容(案)のほか、以下の書類も忘れず用意しましょう。
【必要書類】
- 本人と受任者の印鑑証明書
- 戸籍謄本(必要な場合)
- 住民票
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 契約内容の原案(メモでも可)
※公証人が契約内容の合法性をチェックし、問題がなければ正式な公正証書として完成します。
公正証書の作成費用
任意後見契約を結ぶ際は、公正証書作成の公証役場手数料や、法務局への登記費用が必要になります。
※契約発効後(受任者が実際に業務を始める段階)は、任意後見人の事務費用や報酬、さらに任意後見監督人の報酬などを考慮しなくてはなりません。
公証役場手数料
- 1契約につき 13,000円(日本公証人連合会規定 2025年時点)
- 任意後見契約公正証書は、原則公証人に作成してもらう必要があるため必須
法務局への印紙代・嘱託料
- 印紙代:2,600円
- 登記手数料:1,600円
- 書留郵便料:数百円程度(約540円)
正本謄本の手数料
- 1枚あたり300円×書面の枚数
- 正本謄本は、本人・受任者・法務局用など複数通必要になることが多い
- たとえば書面が5枚の場合:5枚×300円×3通=4,500円
自分で任意後見契約書を作成するメリット・デメリット
専門家に依頼せず自分の力で任意後見契約書を作成することには、メリットとデメリットの両面があります。どのような点がメリット・デメリットとなるのか確認していきましょう。
自分で任意後見契約書を作成するメリット
自分で任意後見契約書を作成することの最も大きなメリットは、「費用を大きく抑えられる」という点にあるでしょう。専門家報酬相当分を節約できるため、金銭的な利点となります。
その他にも、「契約内容を自分でしっかり把握できる」「プライバシーを保持しやすい」といったことが挙げられます。
自分で任意後見契約書を作成するデメリット
自分で任意後見契約書を作成することの最も大きなデメリットは、「法律的なチェックが甘くなる可能性がある」という点にあるでしょう。契約書は法律文書ですから、認識の誤りや記載すべき事項の漏れなどがあってはいけません。
その他にも、「記載ミスや不備で公証人に修正を求められる可能性がある」「家庭裁判所で開始時にトラブルになるリスクがある」といったことが挙げられます。
自分で任意後見契約書を完成させるためのポイント
自分の力で任意後見契約書を完成させるためには、次の3つのポイントが重要になってきます。
いずれも、「自分の力でやり遂げたい」「節約したい」という希望に添わない事柄かもしれませんが、大切な将来に向けた任意後見契約書を正しく作成するためには、必要な場面で専門家の力を借りることも重要です。
① 雛形を鵜呑みにしない
インターネット上に公開されている「ひな形」をそのまま使用するのではなく、自分の事情に合った内容に調整する必要があります。このとき、法律的に正しい内容となるよう、細心の注意を払うことが求められます。
② 公証人に事前相談する
不備のない契約書にするために、公証役場の予約時に原案について相談しておくのがおすすめです。
③ 難しい場合は専門家の部分サポートを検討
法律文書の作成においては、法律家の助言やサポートを積極的に取り入れることも検討してみましょう。書類のチェックのみ依頼する形なら費用も抑えられます。
まとめ
任意後見契約は、自分で内容を考え公証役場で手続きすることで、専門家に依頼せずに作成することが可能です。
ただし、契約内容の法的な正確性・実効性には十分注意が必要です。「自分でできること」と「専門家の力を借りるべきところ」を見極めながら、安心できる任意後見契約を整えましょう。
弊社では、初回無料相談を実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。










