相続で「アパートなどの不動産を子どもに平等に分けたいが、後々の管理は一人の相続人に任せたい」というケースは少なくありません。

 

しかし、不動産を共有状態で相続させると、管理や処分の場面で共有者全員の同意が必要になり、後にトラブルへ発展することも考えられます。さらに相続を繰り返すことで共有者が増え、意思決定が複雑になるリスクも否定できないでしょう。

 

ここでは、不動産相続においてその管理や収益分配を一人に委託できる家族信託の活用方法を説明していきます

 

アパートを相続させるときの問題点

アパートを含む不動産が相続財産の大部分を占める場合、「全財産を子どもたちに平等に分ける」ことは容易ではありません。多額の預金や他の資産があれば、ある程度の調整が可能ですが、それらが少ない場合、不動産を分割しにくいという点が問題になります

 

不動産の共同相続によるトラブル

不動産を複数の相続人で共有すると、法律上、管理や処分における同意要件が煩雑になりやすいといえます

 

  • 共有者の過半数が同意しないと管理行為(道路の舗装や建物の外壁修繕など)を実施できない
  • 員の同意がなければ処分(売却)や大規模リフォームなど変更行為を進められない
  • さらに相続が繰り返されるほど共有者が増え、意見調整の手間が雪だるま式に増大していく

 

家族信託が効果的な場面

不動産相続において家族信託は非常に有効な手段となります。特に以下のようなケースは多くみられますが、家族信託により解決することが可能です。

 

特定の相続人に不動産管理を委ねたい

アパートを管理・運営するには、入居者募集・家賃回収・建物メンテナンス・クレーム対応など手間とノウハウが必要です。複数相続人の共有では意思決定が遅れがちですが、家族信託を活用し受託者を一人に設定すれば、スムーズに運営可能です。

 

賃料収益を平等に分配したい

家族信託で不動産を受託者が管理し、得られた賃料収益を「受益者」である相続人に分配する仕組みを作れます。これにより、遺産分割協議で「不動産を誰が相続するか」の問題を解消しながら、収益は平等に分けることが可能です。

 

不動産を家族信託で管理させる仕組み

家族信託の基本的構造について理解しておきましょう。

 

  1. 委託者:財産を信託する人物
  2. 受託者:信託財産の管理や運用、処分などを行う人物
  3. 受益者:信託財産の運用による利益を得る人物
  4. 信託財産:金銭、不動産、有価証券など
  5. 帰属権利者:家族信託が終了したときに残余財産を受け取る人物

 

家族信託の具体的設計例(参考事例)

アパート1棟を所有するXさんには三人の子(長男A、長女B、次女C)がいます。Xさんの希望は、「アパートは長男Aに管理を任せつつ、収益は子ども3人で平等に分け、アパートの耐用年数までは売却しない」ことです。

 

この場面で家族信託を活用する場合、次のように設定を行うことが考えられます。

  1. 信託財産:Xさんのアパートと敷地
  2. 委託者:Xさん
  3. 受託者:長男A(アパート管理を担当)
  4. 受益者:Xさんが健在であるうちはXさん、死亡後はABCの子3
  5. 帰属権利者:アパート売却などで信託終了したとき、その時点の残余財産を子ABCで分配
  6. 管理権限:修繕・賃料回収・契約更新などをAが単独で行える旨を契約書で明確化

 

家族信託の効果

上記の家族信託設計を組んだ場合、次のような効果が期待できます。

 

共有による同意ハードルを回避

信託によって不動産の所有権(形式的には)が受託者に移り、管理権限も受託者が持つため、複数相続人の共有状態で起こりがちな「過半数の同意」や「全員の同意」の問題を回避できます。受託者が必要な修繕やメンテナンスを柔軟に行えるため、賃貸不動産の運営がスムーズです。

 

収益を平等に分配

死亡後の受益者を複数設定し、かつ「賃料の分配割合」を契約で定めておけば、アパート収益を子どもたちに等しく分配できます。さらに「何年後までは売却しない」といった期間設定も可能です。

 

後継者不在による管理放棄リスクの軽減

アパートなど賃貸不動産の管理は、いったん「共有相続」となると誰が責任をもって行うか不明確になりがちです。家族信託を使えば、後継者を受託者に明確化し、不動産の収益や運営に対する責任が一本化され、長期的な管理が期待できます

 

家族信託を設定する流れ

家族信託は具体的に次のような流れで設定・実行していきます。

 

  1. 家族で協議
    • アパート運営を継続したいのか、いつかは売却したいのか、収益分配の割合はどうするか
  2. 契約書の作成
    • 信託財産(アパート・敷地)の特定
    • 受託者(管理担当者)の権限範囲(修繕・賃貸契約更新・売却の可否など)
    • 受益者の指定(Xさん生前はXさん、死亡後は子ども3人)
    • 帰属権利者(最終的に残余財産を誰が取得するか)
  3. 登記手続き
    • 不動産の所有権移転登記+信託登記を行う(これを怠ると第三者に対抗できない)
  4. 実行
    • 受託者が賃料を回収し、修繕費などを支出
    • 受益者が賃料利益を受け取る

 

 

他の選択肢との比較

アパートを相続させる場合、複数の選択肢から適切な方法を選ぶことができます。他の方法と家族信託のメリット・デメリットを比較してみましょう。

  1. 共有相続
    • メリット:形式的に平等に分割しやすい
    • デメリット:将来的な管理・処分に全員の同意が必要などトラブルリスク大
  2. 一人が不動産を相続し、他の人は金銭で調整
    • メリット:不動産を単独所有できるため管理しやすい
    • デメリット:金銭などのほかの遺産が十分にないと平等が保ちにくい
  3. 家族信託
    • メリット:所有権は受託者に移るが、経済的利益は受益者全員で享受
    • デメリット:契約書作成や登記など手続きが増える

 

まとめ

不動産(特に賃貸アパートやマンション)を複数の子どもで平等に共有相続する場合、管理や処分で同意を得にくくなるリスクが顕在化しがちです。家族信託を導入すれば、相続人全員が受益者として賃料収益を受け取れる一方、管理や運営は一人(受託者)に集中させて意思決定をスムーズに行えるため、将来的なトラブルを避けやすくなります。

 

弊社では、皆様の家族状況や相続観、物件の状態を踏まえたうえで、最適な家族信託プランを提案しております。「共有名義になったら後で揉めないか心配」「遠方の子どもが管理できるのか不安」という方は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。家族信託をうまく活用すれば、平等な相続と円滑な不動産管理を両立させることが可能になるはずです。

 

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