認知症などの影響で判断能力が著しく低下した人の権利と生活を守るため、家庭裁判所は申立てにより成年後見人を選任することができます。
成年後見人は、被後見人の財産管理を行ったり身上監護義務を果たしたりします。
ここでは、成年後見制度利用の手続きの仕方について説明していきます。
申立てから審判までの一連の流れや必要書類などを確認しておきましょう。
専門家への手続き依頼を検討することも大切です。
成年後見人が決まるまでの流れ
本人の意思表示能力が著しく低下し、成年後見人が必要となった場合、家庭裁判所に対して「後見開始の審判の申立」を行う必要があります。
後見開始の審判の申立を行うと、家庭裁判所は提出書類や成年後見人候補者との面接、本人との面接、親族の意向確認などを行い、最終的に審判をくだします。
これにより正式に成年後見人が選任され、後見事務が開始されます。
【成年後見人による後見事務例】
- 被後見人の財産を適切に管理する
- 医療費の支払いを行う
- 被後見人のために介護または福祉サービスに関する契約を行う
- 遺産分割協議参加の代理を務める など
※身の回りの世話や介護は後見事務に含まれない
1.後見開始の審判の申立て
被後見人となる人の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、後見開始の審判の申立てを行います。申立てができる人・必要書類などについては、次章で詳しく説明します。
2.家庭裁判所による審問・調査・鑑定など
申立てを受け、家庭裁判所は提出された書類を精査し必要と判断した場合は、調査官あるいは参与員が、申立人や後見人候補者、被後見人となる人との面接を行ったり親族の意向を尋ねたりします。
裁判官による審問(裁判官が事情を聴取すること)が行われるケースもみられます。
また申立て書類として診断書を提出しますが、それとは別に裁判所側で医師に鑑定を依頼し、本人の判断能力を具体的に判定します。
3.審判(後見開始,成年後見人の選任)
申立て時に提出された書類や面接などをもとに、家庭裁判所裁判官が審判をくだします。
具体的には、後見開始の審判を行い成年後見人を選任します。
なお、家庭裁判所は最も適しているとみなした人物を成年後見人に指定しますので、必ずしも申立て書類に記載された候補者が選ばれるとは限りません。
それぞれの事情を鑑みて、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家を選任することもあります。
「後見開始の審判」申立人と必要書類
すでに述べたとおり、被後見人となる人に成年後見人をつけるためには、家庭裁判所に対して「後見開始の審判の申立」を行わなければなりません。
認知症などにより判断能力を欠いてしまった人を保護するために、成年後見人を選任する手続きです。
ここでは、申立人や申立ての必要書類などについて詳しく説明していきます。
申立てを行うことができる人
申立てを行うことができるのは次に挙げる人です。
- 後見開始の審判を受ける本人(被後見人となる人)
- 本人の配偶者
- 本人の親族(四親等内)
- 保佐人または保佐監督人
- 補助人または補助監督人
- 未成年後見人または未成年後見監督人
- 検察官
- 市区町村長
※任意後見契約が締結されていた場合は、任意後見受任者や任意後見人、任意後見監督人も申立てを行うことができる
申立て先
本人(被後見人となる人)の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申立てを行います。
申立てに係る費用
- 申立て手数料:収入印紙800円分
- 郵便切手:家庭裁判所が指定する額相当分
- 後見登記手数料:収入印紙2,600円分
- 本人鑑定費用:※家庭裁判所の判断により実施した場合
申立に必要な書類
必要書類および添付書類は以下のとおりです。
申立書類
- 後見・保佐・補助開始等申立書
- 申立事情説明書
- 親族関係図
- 親族による意見書
- 財産目録
- 収支予定表
- 後見人等候補者事情説明書(候補者がいる場合のみ)
- 相続財産目録(被後見人となる本人が相続人となる相続財産がある場合のみ)
上記のほか、添付書類として以下を提出します。
添付書類
- 本人の戸籍謄本
- 本人の住民票(または戸籍附票)
- 成年後見人等候補者がいる場合はその住民票(または戸籍附票)
- 本人の診断書
- 本人情報シート(書式あり)の写し
- 介護保険被保険者証・精神障害者保健福祉手帳などの写し
- 本人について成年被後見人等の登記がされていないことの証明書(法務局で取得)
- 通帳の写しや残高証明書、不動産関係書類や負債関係書類などの写し
- 本人を相続人とする遺産分割未了の財産を示す資料
- 本人の収支状況を示す年金額決定通知書や給与明細書、確定申告書、また入院費や納税証明書などの写し など
申立ての取下げ
家事審判手続法にもとづき、申立人が申立てを取り下げようとする際、家庭裁判所による許可が必要となります。
家庭裁判所が納得するに足る事情がない限り許可がおりないこともあるので注意しましょう。
たとえば、成年後見人候補者ではなく第三者が選任されたことを理由とした申立ての取り下げは原則許可されないといわれています。
まとめ
成年後見人の申立て手続きの流れと必要書類について説明しました。
流れ自体はシンプルですが、特に提出書類については多種多様なものを揃えなければなりませんので、時間と労力を要することを知っておきましょう。
もし、手間と時間をかけるだけの余裕がない場合は、専門家に相談してみるのも一案です。
当行政書士法人は、任意後見などの生前対策について数多くのご相談・ご依頼を頂いております。
必要に応じて司法書士などの専門家をご紹介することも可能ですので、まずは無料相談をご利用いただき、後見制度について疑問に思っていることや不安なことなどについてぜひお聞かせください。










