高齢者等終身サポート事業者と死亡届
身寄りのない高齢者が増加する中で、生活支援や死後事務を支援する「高齢者等終身サポート事業」を利用する人が増えています。こうした社会状況を背景として、死亡届の提出者に関する戸籍実務の取扱いについて、法務局から事務連絡が示されました。
終身サポート事業では、見守りや生活支援、葬儀の手配などを含む契約が結ばれることがあります。しかし、親族のいない高齢者が亡くなった場合、誰が死亡届を提出することになるのでしょうか。
実務ではこういった問題が多数生じていたため、法務局は戸籍事務の取扱いを整理し、高齢者等終身サポート事業者が一定の条件を満たす場合には死亡届の提出が可能となるケースがあることを示しました。
死亡届の提出ができる人
死亡届は戸籍に関する重要な届出であり、法律により提出できる人の範囲が定められています。まずは一般的な死亡届の届出資格について整理しておきましょう。
死亡届は、死亡の事実を知った一定の関係者が提出することができます。具体的には、以下に挙げる者が該当します。
- 同居の親族
- 同居者
- 家主
- 地主
- 家屋管理人
- 土地管理人
しかし、近年では単身で生活する高齢者が増えており、死亡届を提出する親族や同居人がいないケースが少なくありません。そのため、終身サポート事業者が関与する場合の死亡届の取扱いが問題となっています。
法務局の事務連絡による認識共有
こうした社会状況を踏まえ、法務局は高齢者等終身サポート事業者が死亡届を提出するケースについて、戸籍実務の考え方を示す事務連絡を行いました。
事務連絡では、高齢者等終身サポート事業者が利用者の居所となる家屋への立入りや管理を委託されている場合には、特段の疑義がない限り、その事業者を「家屋管理人」として取り扱い、死亡届の届出資格を認めることができるとしています。
つまり、終身サポート契約などに基づいて事業者が利用者の居室に立ち入る権限を持ち、実質的に居所の管理に関与している場合には、戸籍実務上「家屋管理人」として死亡届を提出することが可能となったのです。
家屋管理人として認められるためのポイント
終身サポート事業者が死亡届を提出できるかどうかは、契約内容や利用者との関係などの事情を踏まえて判断されます。ここでは実務上重要となるポイントを整理します。
居所管理を委託されていること
死亡届の届出資格が認められるためには、事業者が利用者の居所への立入りや管理を委託されていることが重要です。例えば、次のような内容を含む契約がある場合、居所管理に関与していると判断される可能性があります。
- 居室の管理
- 見守りサービス
- 安否確認
- 死後事務の実施
こういった契約に基づき事業者が居所の管理に関与している場合は、家屋管理人として認められ、死亡届の提出ができる場合があります。
契約関係が明確であること
戸籍実務では、事業者と利用者との関係を確認するため、契約書などの資料の提出を求められることがあります。例えば、以下のような各種契約書を確認資料として求められることも考えられます。
- 終身サポート契約
- 死後事務委任契約
- 見守り契約
- 入居契約書
これら契約により、事業者が利用者の居所管理に関与していることが確認できる場合は、死亡届の提出が認められる可能性があります。
戸籍実務上の注意点
終身サポート事業者が死亡届を提出する場合には、いくつかの点に注意する必要があります。
死亡届の受理は市区町村が行うため、実際の取扱いについては各自治体に問い合わせ、どのような準備が必要になるか確認しておきましょう。
また、契約内容によっては、事業者が死亡届の提出者として認められない場合もあります。そのため、利用者が元気なうちに契約内容を整理し、死後事務の範囲を明確にしておくことが重要になってきます。
まとめ
高齢者等終身サポート事業者による死亡届の提出については、法務局の事務連絡により、一定の条件を満たす場合には家屋管理人として届出資格が認められる可能性が示されています。
具体的には、終身サポート契約などにより利用者の居所への立入りや管理を委託されている場合、戸籍実務上、家屋管理人として死亡届の提出が認められることがあります。
ただし、死亡届は戸籍制度に関わる重要な届出であるため、契約内容や事業者の関与の程度によって判断が異なります。
終身サポート契約や死後事務の内容によって取扱いが変わる可能性もあるため、実際の手続きにあたっては専門家に相談しながら進めることが重要といえるでしょう。










